さっぽろオータムフェスト × 高校生

地元高校生による地元食材を活用した
商品の企画~販売までの取組をご紹介!

10年以上にわたり、高校生たちの「食育」の実践の場となっているさっぽろオータムフェスト。2008年からオータムフェストを舞台に「食育」を実践している市立札幌大通高校の西野先生より、高校生たちの「食」を通じた学習の軌跡をご紹介いただきます。

まちを舞台に学ぶ

市立札幌大通高等学校 教諭
チャレンジオータム実行委員会 事務局長
高校生チャレンジグルメコンテスト実行委員会 事務局長
西野 功泰


毎年秋のさっぽろオータムフェスト大通11丁目会場の風景

生徒の「いらっしゃいませ、おいしいはちみついかがですか」という呼びかけに応じて、札幌市外から来たお客様が生徒に近寄っていく。「高校生が養蜂しているの?」と少し驚いた様子で質問するお客様に対して、生徒たちはミツバチプロジェクト(2012年からスタートした、様々な学習活動ではちみつとミツバチを教材として活用した教科横断型学習)が始まった経緯、自分がその中でどのように関わり、何を学んでいるかを説明しはじめる。それから試食のハチミツを手渡し、花の写真を見せながら、味の特徴などを伝え、会話は次第に盛り上がっていく。
これは毎年秋にさっぽろオータムフェスト大通11丁目会場で見られる販売実習の一幕です。はじめから積極的にお客様に話しかけられるわけではありません。気持ちのどこかで人との関わりを求めているにもかかわらず、人とのコミュニケーションに不安を感じ、日常生活の中で人との距離感をつかめない生徒も少なくないのです。


販売実習を通じた生徒達の成長

多くの生徒達は、販売や接客に少しずつ自信が持てるようになると、商品の紹介だけではなく学校紹介もするのです。中には、「お子さんがいらしたら是非大通高校に!」なんて、生徒募集を一役買って出てくれる生徒もいます。
はちみつを購入したお客様が「がんばってね」と立ち去っていく。生徒たちは「ありがとうございました!」と言って、その後ろ姿を見つめながら、なんとも言えない嬉しそうな表情を浮かべています。


2008年 大通高校とオータムフェストのかかわりのきっかけと「チャレンジオータム」の誕生

本校生徒達とオータムフェストとのかかわりは2008年からです。2008年に開校した本校とオータムフェストは同じ歳なのです。初回のオータムフェストでは、1年次生が職業体験の一環として、4丁目会場の運営ボランティアを行いました。そこで働く生徒たちの姿をみて、札幌観光協会さっぽろオータムフェスト実行委員会の方から、「テント2張りをお貸しするので何かしてみませんか」とご提案いただいたことが、チャレンジオータム誕生のきっかけです。
テントで何をするかは決まっていませんでした。それでも、何か生徒たちと面白いことができる気がして「是非お願いします」とお返事しました。当時はまだ学校で養蜂をしていませんでしたし、大通高校オリジナル商品は存在しませんでした。商業科目である「総合実践」受講生たちと相談した結果、全道の高校生が開発した商品を仕入れて販売したり、直接販売実習に参加したい学校の受け入れを行うホスト校としての活動を思いつきました。


「本物の体験」を通した学び

授業では、商業における基礎・基本を学び、商品開発や原価計算、マーケティング等、販売実習に役立つ内容を取り入れます。販売実習後の感想が、「楽しかった」「お客さんと触れ合うことができて良かった」というような、商業を学ばなくてもできる経験にとどまってしまわないようするためです。販売実習は、商業を学ぶことで世界を広げ、次の可能性を見つけるための手段なのです。
私は「擬似体験」ではない「本物の体験」を通じて、社会の仕組みや問題・課題に直面することにより、生徒たちが高校卒業後も社会で活躍する構えをつくってほしいと考えていました。同じ11丁目会場に出店している方々は、オータムフェストのコンセプトを大切にしています。大都市の真ん中で食のイベントを実施することがどんなに難しいことなのか、関わっている職業はどのようなものがあり、そこにはどのような人たちが存在するのか。また、問題・課題に直面したときにその人たちは何を大切にし、どのような行動を起こすのか。実践には表と裏があり、オータムフェストは食のイベントとして、飲食の販売という取り組み(表)と、高校生の販売実習やオータムフェストという札幌の一大イベントの企画・運営を支える人たちのつながり(裏)から、たくさんのことを学び、吸収することができます。
人との関わりを学び、理解した生徒たちは、来場するお客様を、自分たちの出店ブースだけではなく、関係者全員でもてなすことを意識します。こうしたことは、教室の中だけでは学べません。まちを舞台に学ぶことで、生徒たちはさまざまな大人の価値観に触れ、体験を通じて、まちを盛り上げる一員へと成長していくのです。


2012年 他校からもオータムフェストへの参加がはじまる

2012年には、チャレンジオータムに参加した他校の生徒が料理を販売しました。加工品とは違い、その場でお客様に食べてもらえるので、反応がすぐに返ってきます。その様子を横目で見ていた本校生徒たちが「自分たちもやってみたい!」と言い出したのです。生徒は、ただ商品をたくさん売り上げれば良いという考えではなく、自分たちの商品を食べたお客様が、どのような反応をしてくれるのか、喜んでもらえるのか、そういった反応を知りたいと思ったのでしょう。一見同じ販売実習でも、加工品販売とその場でお客様の反応がわかる料理販売では、得られる学びもお客様との触れ合いの質も違うと生徒は感じていたのです。


オータムフェストから全道へ
食の甲子園「高校生チャレンジグルメコンテスト」の誕生

加工品以外の食品を扱うイベントには様々なハードルがありましたが、オータムフェストで出会った方々や趣旨に賛同いただいた方々と連携・協力して、「高校生チャレンジグルメコンテスト」を企画しました。食味だけではなく、ストアオペレーションや原価計算などの学びの要素をコンテストの中に組み込み、さらに、地元地域と高校生がつながりを持ち、若者の力でまちを活性化することを目的としたコンテストです(https://h-challcon.org/)。
思い描いたのは「北海道で食の甲子園を開催すること」です。北海道には僻地といわれる場所にも魅力的なまちがたくさん存在します。そうしたまちで学ぶ高校生や教師にもっと光を当てたかったのです。各地域のまちが、学校を中心に連携・協力関係を結び、そうした関係を持つもの同士がコンテストを通じて交わりあった時に、これまでになかった地域同士のつながりや学び合い、「学校の価値」や「北海道の価値」の高まりを期待できると考えました。
現在では珍しくない学校と企業、学校と地域が連携・協力した学習活動ですが、なぜ、こうした学びが必要とされるようになったのか。それは、本校生徒をはじめ、これまでにそれぞれの取り組みに参加した高校生たちの姿から感じ取ることができます。
生徒たちは学校とまちを往還しながら、社会の実際や人とつながりを学び、生きること、生きていく力を身につけて、「自分もやれる!」と、自らの意思で、明日への一歩を切り拓いていくのです。

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